今日は平成20年度電験一種二次試験、汽力発電所設備への影響に関する問題の勉強です。
問題は以下の通りです。
問 題
汽力発電所(コンバインドサイクル発電所を除く)が系統並列運転中に,次の(1)から(3)の事象が発生した際に考えられる発電所設備への影響について,それぞれ二つ挙げ,その理由を述べよ.
(1)系統周波数が,異常に低下した場合
(2)系統周波数が,異常に上昇した場合
(3)異常な進相運転が行われた場合
(1)系統周波数が,異常に低下した場合
(2)系統周波数が,異常に上昇した場合
(3)異常な進相運転が行われた場合
電気主任技術者試験センターの標準解答がありませんので、こちらは割愛させていただきますが、
解答内容としては、
①低圧タービン動翼の共振
②補機出力の低下
の二つについて、記述できれば良いのではないでしょうか。
汽力発電所の蒸気タービンは高圧・中圧・低圧に分けられるが、低圧タービンの最終段動翼は長大であり
共振周波数(固有周波数)が低く、系統周波数が低下すると共振に近づき、振動応力が大きくなり、タービン動翼が損傷する恐れがある。
タービン動翼の周波数は共振を避けるため、定格周波数の整数倍からずれるように設計されているそうですが、
低周波数運転になると共振してしまうようです。
動翼の共振や補機類の出力低下に対し、連続運転が許容されるのは1〜1.5Hz程度の低下(50Hzの場合、48.5Hz)までであるようで、
さらに低周波数運転が続く場合は、タービンの損傷を防止するためにユニットをトリップさせることがある。
また、周波数が低下するとボイラ送風機、ボイラ給水ポンプ、復水ポンプなどの補機類の回転速度低下により
熱効率の低下などの影響が現れ、発電機出力が低下する。
この他には、
発電機の励磁電流や鉄損が増加する、
回転子冷却ファンの回転速度低下により、通風作用が減少し発電機各部の温度が上昇する、
などの影響もあるようです。
ちなみに、低圧タービン動翼の共振については、令和5年度電験一種二次試験の問6でも関連問題が出題されています。
それではまた次回。