今日は系統電圧上昇の抑制方法、つまり発電機の進相運転について書きますが、
私なりの解釈ですのであくまで参考としてください!!
電験一種では令和4年度・平成20年度の電力・管理や平成30年度の電力で
進相運転に関する問題が出題されています。
■進相運転とは
電機子電流が電圧よりも進み位相で運転されている状態であり、
界磁電流(励磁電流)を減少させることによって行われる。
■進相運転の目的
深夜などの軽負荷時に系統側の進み負荷が過剰となり系統電圧が上昇する。
そこで系統側で発生する過剰な無効電力を、タービン発電機の励磁電流を下げ進相運転を行うことで吸収し、
系統電圧の上昇を抑制するのが目的である。
(電気主任技術者試験センターホームページの令和4年度第一種電気主任技術者二次試験 標準解答より)
通常、電力系統は遅相(遅れ力率)運転されると思いますが
超高圧・長距離送電線や高電圧ケーブル系統の拡大による線路充電容量の増加や
需要家における力率改善コンデンサの普及によって夜間などの軽負荷時に
系統側の進み負荷が大きくなると進み電流が流れ、
目的にあるように系統側(負荷側)の電圧が上昇します。(フェランチ効果)
この時、進み負荷は進み無効電力を消費(吸収)しますが、
負荷ではなく発生源と考えた場合、系統側に遅れ無効電力を供給することになり、系統側の無効電力が過剰になります。
つまり、系統側(負荷側)の電圧上昇を抑制するためには、系統の遅れ無効電力を消費(吸収)すれば良いこととなり
これを発電機で消費(吸収)するということですが、先ほどの進み負荷と同様に考えると
発電機が遅れ無効電力を消費(吸収)するということは、
発生源として考えると、系統側に進み無効電力を供給すれば良いこととなり、これが進相運転となります。
あらかじめ系統側(負荷側)の電圧上昇を予測して進相運転することで、電圧上昇を抑制するということでしょうか。
なお、進相運転時は以下の点に留意する必要があります。
・内部誘導起電力が低くなるため、同期化力が減少し、定態安定度が低下する。
・漏れ磁束が固定子端部に通りやすくなり渦電流が増え、発電機固定子鉄心端部が過熱する。
・端子電圧低下により所内電圧が異常に低下する。
(電気主任技術者試験センターホームページの令和4年度第一種電気主任技術者二次試験 標準解答より)
固定子鉄心端部の過熱を理解するのが一番難しいですね...
以上、発電機の進相運転について書きましたが、間違っている点等があれば指摘いただけるとありがたいです。
■オススメの本
これだけは知っておきたい電気技術者の基本知識 [ 大嶋 輝夫 ]
今日も購読いただきありがとうございました。